ドラム缶用語集 分類
品試:品質・試験・単位
用語 | 解説 |
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kPa | (1)圧力、応力を示す国際単位(SI)の一種でPa(パスカルと呼ぶ)は固有名の組立て単位であり、単位面積当りの力を表わす(N/cm2)。 (2)kはSIの接頭語の一種で、1,000を表わす。 (3)1kPa=0.010971kgf/cm2(約0.01kgf/cm2)kgf/cm2 (1)単位面積(毎平方センチメートル)当り加えられる重量キログラム量である。 (2)重量キログラム(kg・f)は質量(キログラム:kg)の物体の重量である。 (3)重量とは、力と同じく性質の量を表わし、重量は質量と重力の積である。 |
ゲージ圧(力) Gauge pressure |
(1)圧力はそのゼロ基準のとり方によって、絶対圧、普通圧、差圧の3種がある。 (2)普通圧はゲージ圧(力)ともいわれ、ゼロ基準に大気圧をとってその差圧を測るもの。 工業上広く用いられ圧力といえばゲージ圧(力)をさすことが多い。 |
衛生試験、衛生性 Sanitary test, Hygiene property |
例えば、厚生省告示20号(昭和57年:「食品、添加物等規格基準」)では、食品又は添加物がドラム内面に触れ、人の健康を害うおそれのない様に以下のような試験項目を定めている。 ドラム内面が無塗装の缶はヒ素、鉛及びカドミウム、塗装した缶はヒ素、鉛、カドミウム、フェノール、ホルムアルデヒド及び蒸発残留物の試験の適用を受ける。 また、その浸出用液(溶媒)としてpH5を超える食品は水、pH5以下の食品では0.5%クエン酸溶液を用いる。 |
可撓性(かどうせい) Exfoliation resistance, Flaking resistance |
金属板上塗膜は屈曲することで亀裂、剥離を生じる。塗膜の可撓性とはこの亀裂、剥離の発生の出にくいことをいう。可撓性評価の方法は塗料のJISに規定がある。 |
外観 Appearance,External finish |
一般に外観というと塗装後の完成品としての外観が浮ぶが、このほかに塗装前の外観検査がある。すなわち塗装後では判断できなくなってしまう胴体の溶接状況、キズ、さびなど使用上有害な欠点及び巻締状況の異常の有無など品質チェックの一項目である。 |
外観試験 Appearance inspection |
一般的に、外観試験は製品について数値的に表わせない項目について、目視により製品の欠陥を調査するものである。 |
気密試験 Leakproofness test, Airtightness test |
例えば、JISZ1601「鋼製タイトヘッドドラム」では、鋼製ドラムの気密試験方法として、以下のように定めている。 ドラムに適切な方法で容器等級ごとに定められたゲージ圧の圧縮空気を送り込み、これを水中に浸すかまたは石けん水を塗布して漏れの有無を調べる。 |
気密性 Airtightness |
鋼製ドラムの気密性については構造上胴体の溶接部、胴体と天板及び地板との巻締部並びに天板への口金フランジ巻込み部のような接続部の漏洩に十分注意する必要がある。 通常この漏れの有無はドラムに圧縮空気を送り込み、これを水中に浸すかまたは石けん水を塗布して検査する。 |
検査用ねじゲージ Screw gauge for inspection |
ドラム缶に取り付ける前のフランジとプラグのねじを検査するためのゲージで、フランジの雌ねじを検査するプラグゲージとプラグのおねじを検査するリングゲージとがある。 ゲージには通りゲージと止まりゲージがある。 |
呼び厚さ Norminal thickness |
鋼製ドラムに使用する鋼板の厚さはJISで種類別に1.6mm、1.2mmなど定められているがこれが呼び厚さである。 どんな製品にも必ず公差があり、どんな製品でも公差が明示されなければ製造できない。鋼板にも当然公差があり、その中心値を示すのが呼び厚さである。 |
呼び容量 Norminal capacity |
ドラムの容量を総称して表すのに用いられる容量(単位:L)。 |
質量 Mass |
ドラムの質量とは缶重量のことで、ドラムの種類H級、M級、LM級、L級ごとにJISによって下限重量がキログラム(kg)の単位で定められている。 |
衝撃点 Impact point |
(1)衝撃とは一般(物理、化学)的には、「急に物体に加えた力」と意味づけられており、ある物体に加えられた力の位置(点)である。 (2)JIS Z 1601対角落下試験の場合は、「天板を下にして胴体溶接部に最も近いチャイム」部を衝撃点としている。 |
水圧試験 Internal pressure (hydraulic) test |
例えば、JIS Z 1601「鋼製タイトヘッドドラム」では、鋼製ドラムの水圧試験方法として、概略以下のように定めている。 ドラムに適切な方法で水を注入し、このドラムの胴体溶接部が上面になるように横置きにして、容器等級ごとに定められたゲージ圧で5分間放置し、漏れの有無を調べる。 ただしJIS Z 1607で定める「金属板製ふた・口金」(ペール)に関しては、口金を取り付けた容器に着色水をいれてふたを締め(A形は中ぶたをはめ、B形はプロテクタをする。)、ふたを下方に向けゲージ圧40kPaの圧縮空気を送り込み4分間放置した後、ふたから着色水の洩れの有無を調べる。 |
積み重ね試験 Stacking test |
例えば、JIS Z 1601「鋼製タイトヘッドドラム」では、鋼製ドラムの積み重ね試験方法として、以下を定めている。
水を充塡したドラムを縦置きにし、その上に次式により算出される積み重ね質量に相当する荷重またはそれ以上の荷重を加え、24時間放置した後漏れ及び変形の有無を調べる。
W=((3-HO)/HO)×G W : 積み重ね質量に相当する加重 G : 1缶あたりの総質量(kg) HO : 供試缶の外高(m) ※ 非危険物用ドラムは比重1の質量で試験する。 |
対角落下 Drop across corners |
落下試験の中の一つで、地板又は天板側チャイム部の一点を支え垂直に吊下げる方法をいう。 JIS Z 1601で指定されている対角落下試験で、ドラムの最も弱いとみられる「天板を下にして胴溶接部に最も近いチャイム」部となる様、地板の胴溶接部に対して反対側のチャイムから吊下げる。 |
耐圧性 Pressure resistance |
ドラムの内圧による安全性能を示すもの。 消防法では液体の危険物を収納するすべての種類の運搬容器に実施しなければならないとされている。 たとえば危険等級Ⅰの危険物を収納する容器の場合は、250kPaの水圧を加えたときに胴体の溶接部、胴体と天板及び地板との巻締め部、並びに天板への口金フランジ巻締め部のような接続部からの洩れがあってはならない。 |
耐荷重性 Load resistance |
ドラムに危険物を収納し積み重ねて運搬する場合の安全性能を示すもの。 運搬の際に積み重ねられる同種の容器の全重量と同じ荷重を容器の上部に加えた状態で24時間経過後に洩れ及び容器に変形のないこととなっている。 |
耐久性 Durability | 耐熱性と同じように充塡剤(シーリングコンパウンド)に要求される品質特性。 ドラムをリサイクル(更生ドラム)使用しても、充てん剤(シーリングコンパウンド)が劣化して充填液が洩れたりしないようシーリング効果が持続する品質特性のことである。 |
耐候性 Weathe resistance or Weather proof |
自然環境のうち、主として日光、雨風、雪、温度、湿度、及びオゾン、並びに、大気汚染物質などによる劣化に対する抵抗性を表わす一つの手法である。
JIS K 5600「塗料一般試験方法」等によれば、試験の種類としては(1)屋外暴露試験、(2)促進試験の2通りに分けられており、用いる装置、条件等が区別されている。 (1)の方法は長時間かかる欠点があり天候状態や場所により変化が大きいという短所はあるが、市場における劣化試験の再現性に優れる。標準的な試験場として、(A)米国フロリダ州マイアミ、(B)財団法人日本ウェザリングテストセンター(千葉県銚子市新町1065)が一般的に用いられる。 (2)の方法は実験室で屋外暴露試験の近似及び促進条件をもつ試験装置で、常に一定条件での試験ができるため性能評価、品質管理のために多く用いられている。 |
耐熱性 Heat resistance |
ドラムの巻き締め用充塡剤に要求される品質特性の一つ。 ドラムの外面を塗装、焼き付け乾燥する場合の温度条件に適合する品質特性のことである。 |
代替物質 Substitute substance |
鋼製ドラム等の落下試験を行うとき、運搬される物質そのものを収納して行うことが難しい場合、運搬される物質に代って使われる物質のこと。 |
内圧、外圧、(内外圧等圧) Internal pressure, External pressure (Isobaric internal & external pressure) |
液体を収納する鋼製ドラム等の落下試験においては、落下時の衝撃荷重により缶の形状が変形し、缶の内容積が変化して落下前と内圧(缶内部の空気圧力)が変わる。 落下前の内圧は外圧(缶外部の大気圧)と等しかったものが、落下後は一般的には内容積の増加により低くなり、内部の液体は漏洩しにくくなる。 そこで落下試験の判定基準の一つとして、落下後に内圧と外圧を等しく(内外圧等圧という)し、内溶液の漏洩を調べる方法がある。これをベントテストという。 |
熱硬化性 Thermosetting property |
塗膜の形成の仕方としては二種ある。 一つは塗装後に加熱等により樹脂間の架橋反応が起り高分子化するものである。乾燥後は溶剤に対し耐性を持つ。加熱により架橋するものを熱硬化性という。 もう一つは単純に溶剤の揮発により塗膜形成するもので耐溶剤性はない。 |
抜き取り検査 Sampling test | 検査対象ロット中よりサンプルを抜き取って試験し、その結果を判定基準と比較してロットの合否を判定する検査をいう。 |
被膜強度 Film strength | 一般的にペール缶では金属印刷、または塗装において折り曲げ、絞り等に耐える強度のこと。 |
付着性(密着性) Adhesive property or Adhesiveness or Adhesive strength |
ドラムの塗装は内・外面をとわず、衝撃、摩擦、など外部からの動的刺激が加わることが非常に大きく、かつ、野外に放置されることが多いため特に錆の心配があるので、十分塗膜で鋼材を保護し、はく離を起こさないような状態に保たなければならない。 そのため一般には、衝撃試験、引っかき試験、基盤試験を行ない、塗膜が下地面(鋼材)に付着して離れにくい性能を保持させるようにしている。 |
物理的性状 Physical property |
収納物が固体のときは形状・大きさの分布・嵩比重等、液体のときは粘度・比重等をいう。 缶に収納して落下試験をしたとき、運搬される物質と同じ効果を得るために必要な物理的性質のこと。 |
膜厚計 Thicknessmeter |
金属・非金属の表面に施された皮膜(塗膜等)の厚さを計測する機器。電磁式、渦電流式、超音波式などがある。 |
目視 Visual inspection |
製品の外観上の欠陥を見付けるための手段。 器具等を使用せず、試料を人間の目で見て判断すること。 |
落下強度 Drop strength |
ドラムの安全性能を示すもの。 例えば、JIS Z 1601「鋼製タイトヘッドドラム」では、落下強度の試験方法として対角落下試験及び水平落下試験があり、容器等級によって規定された高さから落下した場合に漏れが生じてはならないことになっている。 |
落下高さ Drop height |
鋼製ドラム等の落下試験において、落下姿勢を保持して吊り下げた缶の最も低い点から着地点までの距離をいう。 例えば、JISZ1601「鋼製タイトヘッドドラム」では、容器等級ごとに落下高さが指定されている。 |
落下姿勢 Drop orientation |
鋼製ドラム等の落下試験においては、缶の狙った部分に規定の荷重を掛けるため缶の自然落下中の姿勢を二つ定めている。 対角落下と水平落下であり、落下衝撃を受ける個所(衝撃点)には缶のうちで最も弱いと考えられている部分を選定する。 |
落下試験 Drop test |
例えば、JIS Z 1601「鋼製タイトヘッドドラム」では、ドラムに容量の98%の水を注入した後、容器等級によって規定される高さからコンクリートまたはこれと同程度に堅固な水平面上に、天板を下にして胴溶接部に最も近いチャイムを衝撃点として、対角落下および胴体溶接部を衝撃点とする水平落下を行い漏れの有無を調べる。 |
落下時の漏洩 Leakage due to drop test |
液体を収納する鋼製ドラム等の落下試験における漏洩には、缶の着地時の衝撃波による注入口金部又は天ぶた固定用バンド部からの瞬間的な微量洩れと、落下後に生じる胴体溶接部、胴体と天板及び地板との巻締部、並びに口金フランジ巻締め部、又はガスケット装着部等からの連続的な洩れとの二種類がある。 落下時の漏洩とは通常後者を指し、前者は強度不足による漏洩とは見なさない。 |
露点 Dew point |
露点温度のことで、水蒸気を含む空気を冷却したとき凝結が始まる温度をいう。 露点温度計により直接測定を行なうか、気温と相対湿度から水蒸気圧を求め、その水蒸気圧を飽和水蒸気圧とする温度を求めることにより得ることができる。相対湿度が100%の場合は現在の温度がそのまま露点温度である。 欧米では相対湿度よりも頻繁に使われ、海岸地方や農業地帯などでは天気予報でも露点温度を発表することが多い。 |
ばり Flash, Burr |
溶接作業でアークまたはガス溶接、あるいはろう付け溶接などでクレータ(Crater)付近から爆発的に飛散するスラグ(Slag)や溶滴(droplet)、あるいは、その両方の混合物を総称して、スパッタ(Spatte)という。これが溶接面に付着する状況を通常ばりと呼ぶ。 また別にプラスチックなど成形時において金型の合せ面の間げきから余分の形成材料が飛びだして固化する現象も、一般にばりと呼ばれている。 同様にプレスの打抜き加工時に発生する穴のかえり、刃先のだれによるかえり、凹部のかえり、絞り成形部品の内側へのかえりなども俗にばりと表現される。 |