SDGs

ドラム缶は3Rの優等生

リデュース、リユース、リサイクルされるドラム缶

ドラム缶メーカーによって生産された新しいドラム缶(新缶)は、ドラム缶のお客様である石油・化学・塗料などを扱う会社へ納入されます。
これらの会社でドラム缶に石油製品や化学製品、塗料などが充填された後、最終需要家へ納入されます。
そして、内容物が使用されて空缶になったドラム缶は1回目の使用を終えます。
ほとんどのドラム缶は鋼板(鉄板)で造られています。
空になったドラム缶はその大半は最終需要家からドラム缶更生メーカーによって回収され、内部を洗浄した上で、新たに外面の塗装を行い(これを「更生処理」といいます)、再び新缶と同様にお客様へ納入されます。このような更生処理を経てドラム缶は4~5回再使用されます。
特に鋼板製の使用済み200Lドラム缶は、ドラム缶更生メーカー、ドラム缶の需要家などによって「使用→更生処理→再使用」のシステムが構築され、リユース(再利用)のサイクルが確立されています。
4~5回使用されたドラム缶は、その後はスクラップ処理に回され「鉄源」として鉄鋼メーカーに運ばれ、新たに「鉄」として再生されます。これがリサイクルです。

2006年に改正された鋼製ドラムJIS(JIS Z1600, 1601)では鋼板の厚みの下限が従来の1.0mmから0.6mmへと拡張され、より薄い鋼板を使用した鋼製ドラムがJISのもとで使用可能となりました。この場合、使用鋼板の薄手化に伴い減圧強度は低下しますが、それを回避する技術として胴体への*ダブルウェーブビードならびにコルゲートの付与があります。
*詳細は「ダブルウェーブビードならびにコルゲートを付与する鋼製タイトヘッドドラムの推奨仕様」をご参照下さい。  当工業会では、このような新技術の開発により、SL缶、FL缶といった従来より薄い鋼板を使用する缶を商品化し、「鉄」のリデュースにも努めております。
 新缶ドラムの薄手化動向につきましては、「新缶ドラム缶薄手化動向」のグラフをご参照下さい。

このようにドラム缶業界は他の業界に先駆けて環境保全に取り組んで来ました。
その成果はリユースやリサイクルのほかにも、危険物や有害廃棄物の運搬・保管工程における漏洩対策、さらに製造工程における公害対策など、さまざまな面に現れており、今やドラム缶は環境の優等生となっています。
しかし、まだ、残滓物や回収ネットワークなどに問題がないわけではありません。
私たちドラム缶関係者はその解決を社会的な問題としてとらえ、100%リサイクルシステムの確立に向けて引き続き努力していきます。200L鋼製ドラムのリユースおよびリサイクルの具体的な数値については次のフローチャートをご参照下さい。

200L鋼製ドラムリユースリサイクルフローチャート

資源再利用の動きを先取りしたドラム缶

地球の自然環境を保護し、限りある資源を有効に活用するため、現在では世界中の人々に 環境保全と資源のリユースやリサイクルが求められています。
これに関する法整備も進んでいます。我が国でも、1997年に「容器包装リサイクル法」が施行されたのを始め、2000年6月には「循環型社会形成推進法(環境基本法)」が公布されました。
また、2001年4月には資源再利用による省資源化、廃棄物の発生抑制に重点を置く 「資源有効利用促進法(環境基本法に一部)」も施行されました。
ドラム缶の使用とそのリユースとリサイクルはこれらの動きを先取りした形でもあり、 この点を評価され、鋼製ドラム缶はこれらの法規制の適用対象外となっております。

製造工程における環境保全の努力

ドラム缶の製造工程では、プレス機、溶接機、塗装機、乾燥炉などさまざまな機械・設備が使用されています。
ドラム缶メーカー各社は早くから製造工程における環境保全の問題にも取り組み、環境基本法(後の環境型社会形成推進法)や、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、騒音規制法、悪臭防止法などの基準や規制をクリアして来ました。